忙しい日々の中で「よし、今年はこれをやり遂げるぞ!」と、大きな勉強目標を掲げている方も多いのではないでしょうか。新しいスキル習得、資格の取得、語学のマスターなど、私たち大人が学ぶエネルギーは計り知れません。
しかし、その大きな目標を立てたとき、つい「大きな数字」に目が眩んでしまい、かえってそれが重荷になってしまうことがあるのです。
「大きな数字」に惑わされず、着実に目標へ向かうための秘訣をお届けします。
目の前のタスクから少しだけ目線をそらしてみる
勉強カフェの山村さんは最近、仕事中にYouTubeで環境音を流す中で、あるユニークなライブ配信を見つけたそうです。それは、アフリカのナミビアにあるナミブ砂漠を定点カメラで24時間映し続ける映像です。本当に一面砂漠なのですが、カメラの前には小さな水たまりがあり、ただそこを映し続けているだけのチャンネルだといいます。
基本的には何も映っていませんが、たまに野生の動物、例えばシマウマやジャッカル、時にはキリンなどが水を飲みに現れる様子を見ることができます。管理人がこの動物は何だと解説してくれることもあるそうです。デジタル漬けの毎日の中で、ふと画面を覗けば遠いアフリカの野生の営みが広がっている――これほど素晴らしい息抜きがあるでしょうか。
大きな目標に集中するのは素晴らしいことですが、疲れたときには目線を少しずらし、遠い自然に思いを馳せることで、また新たな活力が湧いてくるはずです。
娘の「4万ページ」の目標が教えてくれたこと
さて、本題の「大きな数字」について、山村さんのご家庭で実際に起こったエピソードをご紹介します。
山村さんの娘さんは、学校の取り組みで「1年で何ページ本を読むか」という目標を立てることになりました。娘さんは元々本が好きでしたが、目標として掲げたのはなんと「1年間で4万ページ」という途方もない数字でした。
なぜ4万ページだったのかというと、仲の良い友達が前年に達成した数字だったからです。娘さんはその友達と同じ目標を目指しましたが、3ヶ月経った時点で達成率は約15%(6500ページ)で、本人は「しんどい、本当に達成できるかな」と不安を感じていました。
この「4万ページ」という数字は、あまりに大きすぎて、当時の娘さん(小学時代)にはイメージが湧かず、モチベーションよりもプレッシャーの方が大きくなっていたのです。これは私たち大人の勉強にも当てはまります。「〇〇の資格を取るためにテキストを全部マスターする」「単語を何千語覚える」といった途方もない目標は、時に私たちを圧倒します。
魔法の呪文「ブレイクダウン」で目標を現実に
そこで山村さんが娘さんに教えたのが、大きな数字を小さくする「魔法の方法」でした。
目標達成への鍵は、「ブレイクダウン(分解)」です。
1年で4万ページという大きな目標を、まずは月間に分けます。すると、大体1ヶ月で約3,300ページになります。
さらに、それを1日に落とし込むと、1日あたり約111ページになります。
「4万ページ」と聞くと途方に暮れますが、「1日111ページ」ならどうでしょうか。娘さんの場合、当時読んでいた本は1冊200ページ程度でした。つまり、「毎日、本を1冊の半分くらい読めばいいんだ」というイメージが湧いたのです。
「イメージが湧く」ということは、目標が手の届く範囲にあると認識できることです。それまで「無理かも」と思っていた娘さんは、その後、達成に向けて頑張って本を読むようになったといいます。
仕事においては、年間予算を月間、週間、そして日々の売上目標にブレイクダウンするのは当たり前に行われています。これは、途方もない数字を「今日、やるべきこと」に落とし込み、現実的に管理していくための手法です。勉強も全く同じことなのです。
挫折を防ぐ「スモールステップ」の設定術
ブレイクダウンの力が発揮されるのは、大きな目標を立てがちな私たち社会人にとって特に重要です。
例えば、マラソンでいきなり「フルマラソン42.195km」を目指すのは躊躇しますが、その手前の「5kmを走る」あるいは「公園を1周2km走る」といった、小さく小分けした目標を段階的に設定すれば、一歩ずつ進むことができます。勉強も同様で、「何千語の単語を覚える」という目標を「今日覚えるべき単語数」に落とし込み、それをクリアしていくことが、結果的に大きな目標達成へと繋がるのです。
さらに、目標をより現実的にするためには、単にページ数や単語数に分解するだけでなく、「時間」に落とし込むことが有効です。例えば、「1日111ページ読むためには、1ページ読むのにかかる時間を計測し、合計でどのくらいの時間が必要か」を把握します。そして、「その時間を朝30分、夜30分のように、生活のどこで確保できるか」まで具体的にブレイクダウンするのです。
私たちは「頑張ろう」という気持ちが先行し、大きな目標を立てがちですが、遠すぎる目標だけでは途中で諦めてしまいかねません。大きな目標(目指すところ)は明確にしつつも、それを支える小さな目標を一緒に設定することが、継続の秘訣です。
このブレイクダウンの作業は、地道で正直なところ少し面倒ですが、勉強を継続させるためには不可欠な土台作りです。勉強継続コーチングの「StudyHabit」では、このブレイクダウンの作業をコーチが受講者とヒアリングしながら一緒に行い、毎日どのくらいやれば目標に到達できるかを常に考えるサポートをしています。
山村さんの娘さんが目標達成に向けて目を輝かせたように、私たち大人も、目標を手の届くサイズに分解して、一つずつ確実にクリアしていきましょう。皆様の学びを心から応援しています。
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